教習所を卒業して、いざ自分のバイクで公道を走ろうと思ったとき、ふと疑問に思うことはありませんか?「ヘルメットは買ったけれど、服は普段着でいいのかな?」と。教習所ではガチガチのプロテクターを付けていたけれど、街乗りでそこまでする必要があるのか迷う方も多いはずです。今回は、安全かつ快適にバイクを楽しむための服装選びのポイントをご紹介します。
まずは基本中の基本!「肌の露出」は絶対にNGです
バイクの服装選びで、何よりも優先しなければならないルールがあります。それは「長袖・長ズボン」を着用し、肌を露出させないということです。
「夏場は暑いから半袖で乗りたい」という気持ちもわかりますが、バイクにおける肌の露出はリスクしかありません。
まず、万が一転倒してしまった時のことを考えてみましょう。バイクは体がむき出しの乗り物です。たとえスピードが出ていない立ちごけ程度であっても、アスファルトに素肌が触れれば大きな怪我につながります。擦り傷程度で済むものが、肌が出ているだけで深い傷になってしまうのです。
また、バイクには高温になるマフラーやエンジンがあります。信号待ちで足を着いた拍子に、ふくらはぎがマフラーに触れてしまい火傷をする、というのも初心者によくあるトラブルです。
そして意外と知られていないのが「飛来物」の痛さです。走行中は、前の車が跳ね上げた小石や、飛んでいる虫が体に当たることがあります。時速60kmで走っているときにカナブンや小石が素肌に当たると、驚くほど痛いです。
これらから身を守るために、夏でも必ず長袖・長ズボンを着用しましょう。素材はペラペラの薄い生地ではなく、デニムや革など、ある程度厚みと摩擦に強い素材が安心です。最近ではバイク用のジーンズなども売られていますので、普段着に近いスタイルで安全性を確保することもできますよ。
運転のしやすさと「風」への対策を考えよう
次に考えたいのが、「運転のしやすさ」と「風」の影響です。
バイクは全身を使って運転するスポーツのような側面があります。そのため、あまりにタイトで動きにくい服や、逆にダボダボすぎて操作の邪魔になる服は避けましょう。ストレッチ性のある素材を選ぶと、乗り降りの動作やハンドルの操作が楽になります。
そして、車と違って常に「風」を受け続けることも忘れてはいけません。
風の影響は想像以上に体力を奪います。例えば、パーカーの紐やサイズの大きなジャケットが風でバタつくと、体はずっと小刻みに揺さぶられている状態になり、短時間の運転でもどっと疲れてしまいます。体に程よくフィットするサイズ感のものを選ぶことが大切です。
また、バイクに乗っていると体感温度は気温よりもずっと低くなります。「少し肌寒いかな?」と感じる日は、走ると「極寒」に変わります。特に首元、手首、足首の「3つの首」から風が侵入すると体温が一気に下がるため、襟の高いジャケットを選んだり、隙間風が入らないように袖口が絞れるタイプのものを選んだりすると快適です。
初心者のうちは、暑さ寒さで集中力が切れると事故につながりやすいため、「少し厚着かな?」と思うくらいの装備を用意しておくのがおすすめです。
意外と見落としがちな「手」と「足元」の装備
最後に、ウェアと同じくらい重要な「グローブ」と「靴」についてです。ここをおろそかにしていると、いざという時に困ることになります。
まずグローブですが、軍手などの薄いものではなく、必ずバイク用のグローブを着用しましょう。人間は転倒した際、反射的に地面に「手」をついて体を守ろうとします。このとき、ちゃんとしたグローブをしていないと、手のひらを激しく損傷してしまい、その後の生活に大きな支障が出ます。
また、長時間ハンドルを握っているとエンジンの振動で手がしびれたり、握力がなくなってきたりします。バイク用グローブは手のひらに衝撃吸収のパッドが入っているものも多く、疲れを軽減してくれる効果もあります。
次に靴です。サンダルやヒールのある靴がNGなのはもちろんですが、普通のスニーカーでも注意が必要です。
特に気をつけたいのが「靴紐(シューレース)」です。紐が長く垂れていると、ギアチェンジをするペダルやブレーキペダル、あるいは車体の一部に紐が絡まってしまい、足を地面に着けなくなって立ちごけする……という事故が実際に起きています。
もしスニーカーで乗る場合は、紐を内側にしまい込むなどの工夫が必要です。できれば、くるぶしまで隠れるハイカットの靴や、紐のないライディングシューズを選ぶと安心です。くるぶしは転倒時にバイクの下敷きになりやすい箇所なので、ここを守るだけでも怪我のリスクはぐっと減ります。
服装は、バイクに乗るための「正装」であり「鎧」でもあります。最近は街中に溶け込むカジュアルなデザインのバイクウェアもたくさん増えています。
「おしゃれ」と「安全」を両立させて、かっこいいバイクライフをスタートさせてくださいね。
